ニュージーランドは長期不法滞在者ばかりの国?

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今週末は土曜日がワイタンギデーという祝日で、
翌月曜日が振替で休日となり、嬉しい三連休でした。

しかし、ニュージーランドの先住民族マオリ人にとっては
ワイタンギデーは屈辱の日
だったりします。

もともとNZには先住民族として、
いつからか、どこからかやってきたマオリ人が住んでいました。

当時のNZに国家主権はなく、
それぞれの部族が群雄割拠している状態でした。

そこへヨーロッパ人、主にイギリス人が入植してきて
双方共に血で血を洗うような状態で戦っていたのですが、
ついに1840年2月6日、NZ北島にあるWaitangiという場所で
争いを終わらせるための条約が結ばれました。

翻訳の問題があり、内容が不服なものだと
条約を結んだ後に気づいたマオリが立ち上がり
1843年から30年間反乱が起こっていました。

パートナーのマオリ人の同僚によると、
イギリス人を威嚇するために目の前でイギリス人の人肉を
食べたということもあったそうです。

パートナーが「人肉はおいしいのか?」と聞いたら
「シーズニングによる」という答えが返ってきたそうです(笑)

その反乱はイギリス政府により鎮圧されましたが、
イギリス政府はその後不平等を是正するわけでもなく
1975年まで放置していました。

1975年にようやくワイタンギ審判所が作られ、
ワイタンギ条約について、再度の審議が始まりました。

この時に強奪されていた土地の一部がマオリに返還され、
マオリ語も公用語となりました。

このような歴史的経緯により、マオリにとって
ワイタンギデーは屈辱の日で
その日は色々と荒れてしまい事件が起こったりします。

 
私が今夜シティーから家に向かうバスに乗っていた時、
泥酔したホームレスのマオリ人の男性が
同じバスに乗車していました。

その男性はずっとSwear wordsを使い

“overstayers(長期不法滞在者)”
“illegal-immigrants(不法移民)”

とバスの乗客に手あたり次第、何度も繰り返し叫んでいました。

私はこれを上記の歴史的経緯を知らない状態で聞いたので、
「最近はオークランドの中国人移民が不動産転がしをしてて
ニュージーランド人が家を買えなくなってしまったから
それで怒っているのかな?」などと思っていました…。

それで帰宅しパートナーに話したところ、
上記の歴史的経緯を聞いた次第です。

つまり、そのマオリ人男性が叫んでいた
「長期不法滞在者」「不法移民」というのは
マオリ人以外の全ての人間を指していた
のです。

自分達の土地を収奪した「移民」が
不法に長期滞在している、早く自分達の土地から消えろ、
という意味なのですね。

ワイタンギデー以外にも、マオリ人は普段から酔っぱらうと
「長期不法滞在者」「不法移民」という言葉を使い
白人に対して愚痴を言うそうです。

 

 
オーストラリアの先住民族アボリジニと比較すると
ニュージーランドでのマオリ人は遥かに尊重されています。

MAORI TVというテレビ局がありマオリ語で番組を放送していたり、
政府や公共施設のHPでもマオリ語で挨拶が併記してあったりと
存在感があります。

しかしそれでもまだ差別があったり、
白人のニュージーランド人と比べると経済的格差があったりと
問題は解決していません。

「私は日本人だから、何も関係ない」という態度ではなく、
侵略者が作ったニュージーランドというシステムに
乗っかってしまった人間の一人として、
少しずつ歴史を勉強して自分なりに考えていきたいと思います。

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