ニュージーランドでは、アルバイトでも社員でも
雇用契約書と職務記述書が存在します。
雇用契約書は有休や病休、与えられる祝日(クリスマスなど)など
雇用に関する諸条件について書いてあります。
職務記述書には、その仕事の職務が書いてあります。
原本は二部あり、一部は会社が、もう一部は被雇用者がそれぞれ保存します。
その仕事を始める前に会社側と被雇用者側の両方が必ずサインをし、
被雇用者側からの異議や要望があれば
サインをする前に変更が行われて新しいものが用意されます。
ニュージーランドでは全ての仕事に職名があります。
例えばアルバイトでも、ウェイトスタッフ(Wait staff)、
販売員(Shop Assistant/Sales Assistant)、
清掃員(Cleaner)、倉庫のアシスタント(Warehouse Assistant)など。
事務系の仕事なら、秘書(Secretary)、事務員(Administrator)、
受付(Receptionist)、会計士(Accountant)など。
現場系の仕事なら、大工(Carpentor)、
あるいは建設現場で単純作業、人手作業をする人にもHammer Handという
職名がつきます。
日本では課長や部長、取締役など、職名の代わりに肩書きですよね。
さらに、職務も細かく定められています。
今Google NZで「受付 職務記述書」で検索して
一ページ目にあった会社の職務記述書から
サンプルとして一部適当に取ってきてみました。
職名は受付/事務員(Receptionist/Administrator)ですね。
entering the office and deal with visitor enquiries
• Telecommunications : Be the first point of contact answering incoming
telephone calls and passing on messages to all staff
• Administer and update answer phone system, clearing messages and relaying
messages to intended recipients
<訳>
・受付:一番最初の接点となり、オフィスに来るクライエント、
訪問者、代表者に挨拶をし、訪問者からの質問に対応すること。
・テレコミュニケーション:かかってくる電話に一番に応対し、
全てのスタッフにメッセージを伝えること
・電話の応答システムを管理・更新し、メッセージを片付け、
電話を掛けた人が話したかった人にメッセージを伝える。
訳が下手で申し訳ないですが、
これでざっくりとニュアンスは分かるかと思います。
こんな風に細かく決まっていて、
そこで定められている職務から大幅に外れる仕事を頼まれた場合は
「それは私の仕事ではありません」と断れますし、
大幅に外れている内容の仕事を恒久的にしなければいけなくなった場合は
昇給を要求できます。
「この職務に対して、これだけの給与」と決まっているので。
例えば、受付の人が一ヶ月休暇に入るからといって
その間は経理の人に代わりに受付に座って受付の仕事もするように…
と依頼することはできません。
全く別の仕事をするように要求しているわけですから。
日本のように職務記述書がないために、
与えられた仕事は全部やらなければいけない…
どんなに余分に仕事をしても昇給がない…
仕事に終わりはないのでいつも残業しないといけない…
ということはありません。
自分の職務が定められているので、自分の仕事が終わってしまえば
その日は多少早めに帰ったりすることも可能です。
だってその日に自分にできる仕事はもうないのですから。
何ページもある雇用契約書と職務記述書を読んでサインする、というと
堅苦しくて面倒臭い感じを受けるかもしれませんが、
実はそれらの書類によって雇われる側=立場の弱い側がとても守られる仕組みです。