一緒にいるか、別れるかは決めなくてもいい?



家族は依存症者の依存症からくる言動や行動に反応してはいけません。

吹っ掛けられた口論に応酬する、会社に欠勤の連絡を代わりに入れてあげる、
粗相の後片付け、寒そうに床で寝ていたら毛布を掛けてあげる、
経済的損失を肩代わりする等々の世話をしない、など。

痙攣を起こしている、栄養失調で倒れたなどの
命にかかわる事態を除いては助けてはいけません。

こうして書くと「ただ放置してればいいなら、簡単なのでは?」
と見えるかもしれませんが、これが案外かなりしんどいです。

家庭内に問題があっても、家族は
「本人じゃない自分にはどうにもできないから(実際、どうにもできない)」
ということで自分にフォーカスして幸せな日々を送りましょう、
というのが家族会の教えです。

家族会には
「それを実践するようになってから、人生が楽になった」
「人生は良いものだと言えるようになった」
という人達がいて、
でも私はそれがどういう状態かまだ想像すらあまりできずにいます。

ポイントは分かります。

本人に成り代わって依存症を治すのは家族にはできないし、
家族にできるのは支援の申し出だけで、後は全部本人次第なのは事実。

それなら、家族は依存症に巻き込まれない心の状態を作って
幸せを取り戻す方向に行くしかありません。

論理的には分かります。筋が通っています。

でも私には想像がつきません。

それで、検索でたまたま引っかかった断酒会のページを読んでいたら、
「そうそう、そうなんだよ」と思う一節に出会いました。

ちなみに断酒会とは、AAを参考にして1958年に日本で作られた、
日本独自の組織です。

「家族の苦しみの根底に、当事者の飲酒とそれによる関連問題があります。
『飲酒する人をほっといて、あなたは幸せになりなさい』と言われても、それは家族には無理なことです。
『夫は連続飲酒で部屋にひきこもって飲みっぱなしです。でも、私はその影響を受けずにルンルンで生活をしています。鼻歌をうたいながら料理を作っていたら、夫が起きてきて、洗面器の水を私にぶっかけました』と。どこかおかしいですね。。
家族は、断酒による回復を切に願い、祈り、その病気からの回復を支接(原文ママ)しましょう。」
(滋賀県断酒同友会 アルコール講座 アルコール教室(北摂断酒連合会・北摂断酒連合会家族会))

先月下旬に出た家族会でハッとした瞬間がありました。

「AAで回復している人たちは、実はとても幸運な人たちなのよね。
大多数の人達は回復せずに亡くなってしまうから」

と参加者の一人が言っていて、「ああ、そうだった」と。

私がいくら家族として正しい対応を学んで実践しても
それが彼の回復につながるかは全く別の話で
(回復につながる可能性を高めることはできる)、
彼が回復を選ばずに破滅を選ぶのも可能性としては十分にあり得るんだ、
と冷や水をかけられた気がしました。

ワンネスグループのセミナーの動画で回復した依存症者の人達が
生き生きと実体験を語って他の依存症者の回復を助けているのを見たり、
断酒に長年成功している人のブログを読んだりしていると
「いつかは回復できるんだ」と勘違いしてしまっていました。

回復を選ばない可能性だってある、
というかむしろ統計的には回復を選ばない確率の方が高い
んだ…
と気づきました。

AAには依存症者本人にも家族にも
12ステップと呼ばれる回復のステップがあります。

ステップ1が「私たちはアルコールに対し無力であり、
思い通りに生きていけなくなっていたことを認めた」で、
私はステップ1を最近終わったと思ってたのに
全然終わってなかったことも同時に気づきました。

私は家族会に行って彼をコントロールしないようにする対処法を学んで
実践することによって、彼を回復に向かわせようという逆説的な方法で、
彼/アルコールをまだコントロールしようとしていた
のでした。

愕然としました。

それでちょっとどんよりして、私はもう36歳でいつか子供が欲しいから
もうあまり時間がないし、別れも視野に入れた方が良いのかもしれない、
今のような生活を一生続けるのは無理、でも回復するかもしれない、
でもずっとしないかもしれないし…とグルグル考えていたら
Youtubeで元夫がアルコール依存症の女性が
実体験を話している動画を見つけました。

その女性は10年間アルコール依存症の夫と結婚生活を送って、
「別れるか、留まるか」とずっと悩んでいたらしいです。

元夫が飲酒している時は「こんな生活はもう嫌だ!別れる!」と思い、
シラフの状態がしばらく続くと元の良い夫に戻って、
「一緒にいられるかもしれない」と思っていたと。

私と一緒です。

その女性が言うには、「10年間一緒にいるか別れるかを迷い続けていたけど、
『もう限界だ』と思った時は本当に鮮明だった」らしいです。

「その瞬間が来るのは明日かもしれないし、一年後かも五年後かもしれないし、
一生そうやって決断できる時は来ないかもしれない。
でもそれで良い。決められない自分を許してあげて。
あなたのペースで良い。その代わり、あなた自身に優しくしてあげて。
留まるか別れるか早く決めないと、と自分にプレッシャーをかけないで」
と。

それを聞いて肩の力が抜けたというか、今はまだ決められないのなら、
決められないままでいいのかなと思えたまし。

人間的に嫌になったわけじゃない人との別れを視野に入れ続けるのは疲れるので…。