プロフィール


菊川美代子

2012年3月に同志社大学大学院博士課程単位取得退学、2012年5月にオーストラリアへワーホリビザで渡航。
オーストラリアで2年間のワーホリ、NZで1年のワーホリを経て、現在はパートナービザ(Work Visa Based on Partnership)にてNZに滞在しています。
オーストラリアで出会ったアイリッシュのパートナーと永住権目指して奮闘中。
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ニュージーランドに来て良かったと心から思った夜

 

最近のニュージーランドでは「移民」が議論の的で
来たる選挙でも政争の具の一つとなっています。

「移民がニュージーランド人の雇用を奪っている」
「移民が安くても仕事をするから給料が上がらない」

とニュージーランド人は移民を非難しています。

そして政治家は人気を得るために移民のビザのポリシーを厳しくして
移民を制限する政策を実施しています。

このような状況の中、
Massey UniversityとPaper Boyという雑誌がオークランド博物館にて協賛で開いた
移民についてのパネルがあったので足を運んできました。

時間は18-21時だったので、仕事帰りに行ける時間です。

オンライン予約だと$25と手数料が$3で合計$28でした。

会場にはケータリング会社によりバーが併設され、
お酒と軽食を楽しみながら議論を聞くというリラックスした雰囲気でした。

また、議論の前後には移民というテーマに沿ったコメディーショーもあり
とても楽しめる内容でした。

議論のハイライト

パネルのメンバーはこの四人で、
パネルの議論のうち、興味深かったのは以下の点です。

 

 

・オークランドは急激な人口増加で移民を減らしたがっているが、
クライストチャーチやクイーンズタウンはもっと労働者が欲しいと訴えている。
面積のたった2%を占めるにすぎないオークランドが
人口が多く有権者が多いためにまるでオークランド市が国のように扱われていて、
オークランドが移民反対だとそれで移民局のポリシーが決まってしまっている。

・オークランド市民はニュージーランドはもう人が多すぎると文句を言っているが、
ニュージーランドの大部分は田舎で、誰もいない土地がたくさんある。
土地はまだまだ余っている。

・ニュージーランドに人種主義は確かに存在する。
有色人種はその人口比率に対してテレビで見かけることが少なく、
十分に表象されていない。

・政治家は移民の数を大幅に制限したがっているが、
移民の数を制限することにより起こる経済的打撃を考えるべき。
移民が事業を作り出している側面を無視してはならない。
移民が大量に来る以前からすでに住宅の供給不足はあったし、
その他の問題もあった。
移民を全ての問題の根源と設定し、その視点から全てを見ている現状は国民の無理解。

・「移民」という言葉の定義は何かが明確ではない。
近年ニュージーランドに来た移民か?
ニュージーランドは少し遡れば皆移民の国である。

・白人だとアクセントで分からない限り、
一世の移民でもどこの国出身か聞かれないのに対して
有色人種はニュージーランド育ちの二世でもどこの国出身か聞かれ続けるため、
有色人種の二世移民は自分がこの国の一部ではないと言われているように感じる。
有色人種がニュージーランド出身だと応えると
今度は両親の出身地を聞かれるのは自覚なき差別である。

・「オークランドはアジア人が多くなりすぎた。クイーンズストリートを見てみろ。
こんなのはニュージーランドじゃない」
と白人のニュージーランド人は言うが、
それではクイーンズストリートが東京みたいになることで
ニュージーランドは具体的に一体何を失っているというのか?

パネルの後はフロアとの質疑応答があり、
以下のコメントと質問がフロアから出ていました。

 

 

・「どこ出身?」と聞くことが自覚なき差別とは思わず、
会話の糸口として使っていた。
しかし、度々そう聞かれると鬱陶しいのは理解できるので、
「あなたは言語をいくつ話すの?」と今後は聞くようにする。

・移民が数ある国の中からニュージーランドを移住先として選んでくれたことに
ニュージーランド人は感謝するべき(フロアからの感想)。

・インド人の男子生徒が女性教師は自分に指示をするなと言ったことがあるが、
どの程度までニュージーランド人の文化はこうだと主張するべきか?
→それぞれの文化の何かを正しい/間違っていると断罪することはできない。
自分達の文化を省みて、自分達の文化の悪いところを直していくのが良い。
その上で、お互いの文化について話し合い理解を深めるのが良い。

・富裕層に移民に来るよう誘っておきながら、
いざ経済的に豊かな移民が来たら
ニュージーランド人が「移民が金持ち過ぎる」と文句を言うのは矛盾している。
移民のポリシーはニュージーランド人が決めているのであり、
自分達で決めたことを実行して起こった結果について
移民に文句を言うのは筋が違う。

移民を議題にしたパネルだったので
移民に関心があるまたは好意的な人が集まっている確率が高い場だった、
という要素もあるとはいえ、
フロアから移民を歓迎する暖かいコメントが相次ぎ、
聞いているとありがたくて目頭が熱くなってしまいました。

普段メディアで見るのは移民締め付けのニュースばかりで、
周囲のニュージーランド人も移民に反対している人が多く
全てではないとはいえ、受けられない社会保障があるのに
ニュージーランド人と同じだけの税金を払って
ニュージーランド人よりも経済的には貢献しているはずなのに
歓迎されていない風潮・雰囲気を感じるのは
なかなかに辛いものがあります。

現在は世界的に内政の問題から国民の目を逸らす意図もあっての
移民排斥の風潮が盛り上がっています。

そんな中、少数でもこうして移民の貢献を理解してくれる人達がいることは
将来的にこの国の移民になりたいと願っている人間としては
とても励まされるものであり、
ニュージーランドに来て良かった、と本当に心から感じられたイベントでした。

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