人が辞めていく会社で働いてみて分かった5つの特徴

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私は現在、ニュージーランドのオークランドにある
社員20数名ほどの小さい建設企業で働いています。

日系の会社勤めは過去の経験からもう二度としたくないので、
日系以外の会社で仕事を何とか見つけました。

社長はイギリス人、副社長はニュージーランド人、
経理のマネージャーは社長夫人でもあるイタリア人、
あとの同僚はニュージーランド人、南アフリカ人、フィジー人、
そして事務は日本人の私という多国籍な会社です。

オフィスで働いているのは上の7人で
後は現場で15人ほど働いている人たちがいます。

そちらもニュージーランド人、フランス人、アイルランド人、トンガ人、
南アフリカ人と多国籍です。

私は入社してから七ヶ月が過ぎたのですが、
どうもビザの心配がない人ほど定着せず辞めていくことに最近気づきました。

全体としてみるとそう気になる割合ではないのかもしれませんが、
ビザの心配がない人達だけの割合で見ると離職率がとても高いのです。

何でだろうと考えてみたら、それらしい理由がいくつか思い当たりました。

1.管理職の能力不足

まずオフィスの方では、私の直属の上司であるイタリア人上司が
マネージャーとしての能力が低く、部下をうまく管理できていません。

彼女の下で働いた人達は皆1年以内に辞めていくようです。

彼女はとにかく説明が下手で、話す前に頭の中で要点を整理せず話すので
相手が知る必要のない余分な情報まで与えて混乱させてしまい、
指示がうまく出せないのです。

部下が良く理解できず、質問しても答えはあまり要領を得ません。

そのため部下は曖昧な指示のもと、推測で仕事をせざるを得ません。

当然誤解や間違いが発生するわけで、
そうすると「部下が誤解するのが悪い」と彼女は部下を責めるのです。

そしてタチが悪いことに、彼女は社長夫人

上下関係が日本より緩いニュージーランドですが、
さすがに社長夫人にはあまり強く言い返せません。

夫の事業が軌道に乗ったところで妻の彼女が経理の知識を生かして参加して
社員をそこから雇っていったので家族経営の会社というか、
能力があってマネージャーになった訳ではないタイプの人です。

彼女の部下として私の他にもう1人経理アシスタントの子がいるのですが、
その子も勤めて9か月で退職を決意。

現在は在籍1年ですが転職活動中だそうです。

私ももうすぐ転職活動を始める予定で、
来年3月の在籍1年になる時点で転職先が決まっていなかろうが
退職をする予定にしています。

2.同業他社よりも給与が低い

私のパートナーが職種は違うとはいえ同じ業界で働いているので
現場系の人達の給与の相場は大体ですが分かります。

その相場の金額と比べると、給与がかなり低いのです…。

本当は私の立場では他の社員の給与を知るのは不可能なのですが、
私の上司がプリンターに全員の給与額を印刷した書類を取り忘れて帰宅したことがあり
私が偶然それを見てしまったという経緯です。

「これだけしか払ってないのか…」と驚きました。

高校生の頃に親と移住してきた南アフリカ人で、ビザの心配がない社員が
「給与が低いから」と同業他社に転職していきました。

彼の退職が決まる一月ほど前、私がキッチンで昼ご飯を食べている時に
その彼がキッチンにたまたま入ってきたことがあったので、
「もうお昼食べた?」と軽い雑談のつもりで聞くと
「お金ないからお昼抜き。妻と小さい子供2人を養ってて、
住宅費や保育園のお金を払ったら俺のお昼代は残らないんだ」

という答えが返ってきたことがありました。

彼がより高い給与を出す同業他社に転職するので退職する、
という話を聞いた時に真っ先に思い出したエピソードでした。

あと、求人に応募してきた人に内定を出しても、
「他の会社からもオファーをもらった。
そちらの方が高い給与額を提示してきたので」
と辞退されたりしています。

 

 

3.仕事時間・日数が多すぎる

人が辞めていく上に、求人を出して応募者に内定を出しても給与の低さで断られ…。

私と同僚のポジションの後任はすぐに見つかるようなので
オフィスの人員は常に一定ですが、現場で働く社員の数は減る一方。

それなのに社長がどんどん仕事を取ってきているのか、
仕事の量は変わらないどころか増えているようです。

そのせいで現場で働く社員たちは毎週土曜出勤となり、
その分の給与は別途出るとはいえ疲労が溜まっている状態。

ニュージーランドではワークライフバランスがとても大切にされる国なので
仕事ばかりで家族との時間が取れない、
休みの日は疲れを取るために寝ているしかない…という状態が続けば
人は辞めていくのです。

4.トレーニングを与えない

うちの会社では、何と若干22歳の社員がスーパーバイザーとして
現場の運営を任されています。

高校卒業と同時に働き始めたとしても、まだ働き始めて4年も経っていません。

それなのに特にトレーニングも与えられずに現場の運営をいきなり任され、
彼は「自分には荷が重すぎる。スーパーバイザーを降りたい」と
半ば錯乱してしまった
そうです…。

その話を耳に挟んで、私は「それは当然だろう」と思いました。

なぜなら、オフィスで私の隣の席のマネージャーがその22歳の彼に電話で
「この書類とこの書類が足りないぞ!」
「どうしてその作業をもっとうまくできないんだ!」

などとよく怒っているのが聞こえていたからです。

その他にも、20代後半ではあるものの経験年数3年ほどの人達をいきなり
「君は今からスーパーバイザーだ」と会社が任命し、
かといって何をどうすべきかというトレーニングや助けを与えず
暗中模索している彼らの仕事ぶりを叱ってばかり
います。

そんな状況を見かねた中堅のスーパーバイザーが
オフィスのマネージャーたちに先日直訴していました。

「経験がある人にとっては簡単なことでも、
経験がない人にはとても難しく感じることはたくさんある。
大体、お前達が22歳の時は何をしていた?
大学で学生をしてて、パーティーでもしていただろう。
大抵の22歳は大学にまだいるんだ。
お前達は、22歳であいつみたいに現場を一任されるほどの大変なことしていたか?
人が奮闘している時、苦しんでいる時には
彼らを批判するのではなく助けてやり、トレーニングしてやるべきだ」

このスーパーバイザーの直訴によってマネージャーたちは
「そう言われればそうだ…」と気づいたようでしたが、
こんな当たり前のことを言われないと気づかないというのもすごいと思いました。

5.自分達に問題があると思わない

会社のどのマネージャー達もそうなのですが、自分達はいつも完璧で、
間違いをしたりして悪いのはいつもマネージャー以外…
という認知の歪みがなぜか発生しています。

求人に応募してきた応募者に内定を出して
「他の会社よりも給与が安いので」とはっきり言われて辞退されているのに
「どうしていい人が来ないんだろう」と社長が先日不思議がっていました。

それに対して現場で働く社員を統括する40代のマネージャーが
「今時の若い世代は働きたがらずに楽して何もせずに給料をもらいたいからだ。
面接をしていても彼らの目を見れば分かる」
と同調し、
26歳のエンジニアが「そうだそうだ」とさらに同調していました。

若い世代でも働きに見合った給料が出るなら働きたいと思うだろうし、
キャリアのことだって考えて頑張って働くだろうし、
26歳がこういう「今時の若者叩き」に乗っかっているのも不思議で
私には彼らの思考回路がちょっと理解できませんでした。

人が辞めていく、内定を出しても蹴られる、
そして既存の社員の負担が増える一方なので
またさらに人が辞めていくだろうし、完全に悪循環です。

最初の方に書いた通り、早々に辞めていったのはニュージーランド人と、
すでに永住権があって仕事の自由がある移民で
残っているのは会社にビザをスポンサーしてもらっているので
退職する=ビザを失って母国に帰国になる、の外国人ばかり
なんですよね。

外国人は私のパートナーが現在申請している
Work to Residence Visa
を会社から出してもらっているので
会社で2年働いた後は永住権をもらって自由の身となります。

というわけで、その2年が過ぎるまでは外国人はビザのために頑張りますが、
その期間が終わった後に果たして彼らが会社に残りたいと思うかどうか。

そして最近ニュージーランドの移民ポリシーがまた変わり、
Work to Residence Visaを出して外国人を雇うには
会社は年額79600ドルの給与をその人へ支払わねばならないことになりました
(これまでは年額55000ドルでした)。

給与が安い会社なので、到底届かない数字です。

給与が安くても2年間のことだし、永住権が確実にもらえるのならと
頑張る外国人に支えられてきた状態ですが、
今後はこのインセンティブがなくなる訳です。

永住権に直接はつながらない、ただのワークビザならまだ出せますが…。

同じ業界で働くパートナーにこれらの話をすると、
「あー…。この間まで俺が働いてた現場に君の会社の人達がいたけど
『仕事の進捗が遅い』って測量の人に愚痴言われてたよ。
その前の違う現場でも、君の会社の人達は明らかに経験不足の人ばっかりで
何をしていいか分からない感じで、失敗してたこともあったし。
小さい会社が急成長しすぎて、色々追いついてないだけなのかもだけど、
マネジメントが目を覚まさないと近いうちに潰れるかもね」
と言われました。

私としては、潰れてもらっては困る!というよりは、
むしろ潰れてくれた方が次の転職/就職活動の際に
退職の理由の説明をしやすいので、早く潰れてくれないかな
…という感じです。

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