ニュージーランド流・職場で受けたいじめへの仕返しマニュアル

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ニュージーランドで就職して、職場で上司から虐めや不当な扱いを受けたり、
人事や会社に報告しているのに何もしてくれなかったら?

きっちりと仕返しする方法があります

先週末にオークランドで働いているアイルランド人の知人から連絡があり、
「職場で上司から嫌がらせを受けている。
ストレスで精神安定剤を飲んでいるほどで、
これ以上同じ職場では働き続けられないのですぐ退職するつもりだ。
でも、どうにか仕返しをする方法はないかな?」と聞かれ、
私は少し詳しいので仕返しの方法を彼女に教えました。

それで、その内容をブログの記事にしてみたら
誰かの助けになるかも、とふと思いついた次第です。

仕返しの方法はこうです。

1.上司や同僚からされた嫌がらせやいじめの証拠を保全する

2.退職を決めてから退職するまでの間に労働関係に強い弁護士を探して依頼する

3.退職から90日以内にPersonal Grievanceの申し立てを会社に送る

4.企業・技術革新・雇用省が提供する調停を申し立てる

5.ERAに持ち込んで裁判を起こす

ほとんどの人には何のこっちゃ、だと思うので順番に説明します。

1.上司や同僚からされた嫌がらせやいじめの証拠を保全する

何をいつされたか、その出来事によりどんな気持ちにさせられたかを
(悲しくなった、軽く扱われたと感じた、など)、
エクセルや日記で記録
してください。

ずいぶん前のことで日時をはっきり思い出せなくても、
何月だったか、何日頃だったか、
何時頃だったか大体で良いので
覚えている範囲で書き出してください。

証拠としては、メールや議事録など書面での記録が残っていればベストです。

もし残っていない場合は、今からでも何かされたり言われた時に
その内容をその辺にあるメモ用紙でもどんな紙にでもいいので書いてください。

その紙は保管しておいてくださいね。

相手に許可を得ないで行った会話の録音を証拠として使えるかは
ケースバイケース
の様です。

 

 

同僚がいじめや暴言などの現場を目撃している場合もあるかもしれませんが、
その同僚が今後もその職場で働き続けるのであれば
自分の身の安全を考えて、証言してくれない場合もあります。

証言する場合は身元を明かすことになるので、
その職場では働き辛くなるでしょうしね…。

もうその職場を辞めてしまっている同僚だったら
協力してくれるかもしれません。

あとは、かかりつけのGPに行き、
「仕事のストレスで体調を崩した(不眠、食欲不振など何でも)」

と話して診断書を取ってください。

 

 

2.退職を決めてから退職するまでの間に労働関係に強い弁護士を探して依頼する

別に弁護士を雇わず自分で仲裁サービスに申請して
自分一人で会社とやり合ってもいいのですが、
私は弁護士の利用をお勧めします。

弁護士を雇うとなると高額の資金が必要だろうし、
これから退職して収入がなくなるのに貯金を減らすのは…
と考えますよね。

ニュージーランドには
No win no feeで依頼を受ける弁護士がいるので
費用面での心配は不要
です。

No win no feeとは読んだままで、
「勝たなければ弁護士費用は不要。負けた場合は無料」
ということです。

「ボランティアでもないのに負けた場合は無料なんて?」
と不思議かもしれませんが、
彼らは絶対に勝てると見込んだ依頼しか受けません。

負けたら収入なしで、ただの徒労ですから…。

つまり、彼らが依頼を受けた時点で
自分のケースはほぼ勝てるとお墨付きをもらったも同然です。

No win no feeの弁護士が
依頼主のため会社を相手に慰謝料を勝ち取った場合、
彼らはその慰謝料の額の33.333%を取り分とします。

それに対して、No win no feeではない、
着手金や時間給などの費用を請求してくる普通の(?)弁護士だと
慰謝料からの取り分は15%前後です。

No win no feeの弁護士に頼むと、
もらえる慰謝料の額が減ってしまって損なように見えるかもしれませんが、
それ以外に依頼主はお金を払わなくていいですし
正義を求めているのにお金がないから何もできない…
という事態になりません

それに、15%の取り分の弁護士だと費用の相場が5000ドル程ですし、
職場での不当な扱いによる精神的苦痛に対する慰謝料の相場も5000ドルで
勝っても何も手元に残らないどころか、
慰謝料が少ない場合は赤字になりかねないというリスクもある
のです。

3.退職から90日以内にPersonal Grievanceの申し立てを会社に送る

,p>退職後は、退職日から90日以内
Personal Grievanceの申し立てを会社に対して書面で行います。

これは弁護士に依頼した場合は、弁護士がしてくれます。

また、Personal Grievanceは
退職をするつもりがなくても申し立てられます。

申し立てた後は、
結果はどうあれ会社に少し居づらくなるかもしれませんが…。

個人的には、退職する会社に対して申し立てるのであれば
退職日までは証拠を集めつつ
周囲にはまるで円満退職かのように振る舞うのがお勧め
です。

下手に会社側が警戒して証拠隠滅されたり、
言動に気を付けだして証拠を集められなくなっても困るためです。

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Personal Grievanceというのは、
和訳すると「個人的な苦情」といったところでしょうか。

内容は、例えば上に挙げた私の知人の場合だと以下です。

「上司からの日常的な虐めがあり、精神的な苦痛を受けた。
人事に話して解決してくれるよう再三依頼したのにも関わらず、
人事は何もせず、会社側は解決への努力を怠った。
その結果、自分は心身に不調をきたして仕事を続けられなくなり、
退職を余儀なくされた。
これは自分から退職を申し出た形ではあるが、
会社側が問題を解決していれば防げたものであり
実質的には解雇である。
したがって、企業・技術革新・雇用省が提供する調停サービスを利用し
調停を行いたい」

 

 

これに対して会社が非を認めて
謝罪、慰謝料を提示するなどすれば
調停をすることなく話は終わります。

しかし、調停への出席は強制ではありませんので、
会社側が「自分達には非はないので、調停に出席する必要はない」と反論し
調停への出席を拒否してくる場合もあります。

会社側が調停への出席を拒否した場合は5に、同意した場合は4に進みます。

4.企業・技術革新・雇用省が提供する調停を申し立てる

企業・技術革新・雇用省(Ministry of Business, Innovation & Employment)は
調停(Medication)サービスを無料で提供しています。

弁護士を雇っている場合は
弁護士がこのサービス利用申請をしてくれます。

調停は、Personal Grievanceを申し立てた従業員側と
申し立てられた会社側に加え、
Mediatorという中立の第三者がその場にいて進行されます。

そこでお互いの主張を述べ、合意できれば終了です。

お互いの主張と要望が平行線の場合は、
Mediatorが妥当と思われる解決策を双方に提示します。

その解決策にどちらか一方でも賛同できなければ、5に進みます。

調停での注意点は、
そこで話された内容は外部に漏らしてはいけないことです。

あとは、和解した内容も漏らしてはいけません

例えば、(元)従業員が(元)同僚に
「会社から2000ドルの慰謝料をもらった!」と言う、
会社側が同僚や同業他社の人達に
「あいつは調停をうちに対して申し立てて慰謝料の支払いを受けた」
と漏らすなど。

受け取った慰謝料の金額など和解の内容を漏らし、
それが会社側に知れた場合は慰謝料返還となりますので
調停に持ち込んだこと自体を口外しない方が良い
です。

5.ERAに持ち込んで裁判を起こす

調停が不調に終わった場合は
Employment Relations Authority(ERA)に申請し、
裁判を起こせます。

調停で話された内容を口外してはならないのは裁判でもそうで、
「調停でこう言っていたじゃないか!」
と言うことはお互いにできません

ただ、裁判となるとかかる時間と労力が多大なものとなります。

調停だと1日で終わりますが、
裁判となると半年ほどかかりますし
何回も裁判所に出向かないといけません。

また、No Win No Feeの弁護士でも
ERAでの裁判費用はかかることがあるので要注意
です。

上にも書きましたが、精神的苦痛(hurt and humiliation)に対する慰謝料は
5000ドル程が相場で、裁判でもそれに変わりはありません

ですので、裁判にまで持ち込む価値があるかどうか考える必要があります。

「それじゃあ、会社側は調停に出てきても和解せず裁判にすれば
潤沢な資金で弁護士を雇える余裕のある会社側が勝って
お金がないこちらが負けるのではないか?」
という疑問が出てくるかと思いますが、
ここは実は心配があまりいらないかなと思います。

 

 

調停と違い、裁判になると全ての情報が公開されます。

つまり、会社側が(元)従業員から裁判を起こされている
というのが一般に公開される
のですね。

(元)従業員から訴えられていることが満天下に知られるとなると
会社としてのイメージは悪くなります。

また、会社側も弁護士費用の心配がないとはいえ
追加で高額の弁護士費用が発生するわけでコストがかかりますし、
わざわざ裁判となると手間がかかるため
できるだけ調停で終わらせてしまいたいだろうと予想できます。

ですから、裁判にまで持ち込まないといけない可能性は低いと思われます。

職場で嫌な扱い、不当な扱いを受けてやられっぱなしは悔しいので、
ぜひ闘って仕返ししてみてください。

調停は無料の上自分一人で申請してもいいですし、
弁護士を雇うとしてもNo win no feeであれば失うものもないですしね。

とにかく消耗してしまって今はただ休みたい、という場合も
Personal Grievanceは退職後90日以内に申し立てればいいので
しばらくゆっくり休んで英気を養って元気になってから仕返ししても大丈夫です(笑)

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