2011年3月11日に東日本大震災が起こり、
地震により発生した津波が福島第一原発を直撃し、
1号機・2号機・3号機・4号機が爆発しました。
現在も原子力緊急事態宣言は発令されたままであり、
福島第一原発事故は国際原子力事故評価尺度(INES)で
最も深刻な事故に当たる「レベル7」の評価をされました。
それにもかかわらず、当事国である日本のテレビや新聞では
事故について詳しく報道されていません。
そこで、まず何がいつ起こったのかを確認してみたいと思います。
何が起こったか時系列で分かりやすいのは、
時事通信のこのページに詳しいです。
【図解・社会】東日本大震災・福島第一原発の状況と動き(随時更新)
また、ある学者が放射能は安全だと言ったと思ったら
別の学者がいいや危険だと言う…一体、
どっちを信じたらいいのか?…と、
誰を信じてよいのかよく分からないのが実情だと思います。
ですので、どの学者を信じたらいいのか、
またどうしてその学者の言っていることは信頼に足るのかと
判断している私の基準を書いてみます。
私が信頼できる意見を言っていると思う学者は、
元京都大学原子炉実験所助教、
元京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻助教
(2015年3月に定年退職)の小出裕章さんです。
小出さんは原子力工学を専攻され、
現代の原子力工学における放射線被害にご関心があり、
原子力発電に反対している方です。
「原子力をやめることに役に立つ研究」を行なっておられました。
小出さんは放射能汚染に対する政府の対策に対して
「原発事故と今後を憂うるサイエンティスト有志」に加わり、
原子力工学の専門家として内部被曝の問題を提起し、
とくに幼児や妊婦などの置かれた状況を改善するよう
提言を行っています
(原発事故と今後を憂うるサイエンティスト有志 石田紀郎、今中哲二、荻野晃也、海老沢徹、川合仁、川野眞冶、小出裕章、小林圭二、柴田俊忍、高月紘、槌田劭、中地重晴、原田正純、松久寛「提言書 2011年4月18日」(『月刊 むすぶ』ロシナンテ社、483号、15頁、2011年4月)。
2011年5月23日には、参議院行政監視委員会の参考人として
政府のこれまでの原子力政策についての意見を開陳した方です。
アカデミックポストがどんなものかを知っている方は、
「定年まで助教とは一体どういうこと?」と
疑問に思うかと思います。
現在の大学のポストは、
助教<講師<助教授(準教授)<教授ですので、
助教というのは一番下っ端なのです。
雇用形態も終身雇用ではなく、最近では2年とか3年の任期制で
博士課程を修了~数年の若手がつくポストで、
ポスドクのようなものです。
小出さんの助教ポストは任期がなかったようですが…。
では、なぜ定年まで助教というポジションにいたのか?
というのは、小出さんには出世欲がなかったからだと
ご本人のインタビューでおっしゃっています。
私が原発を絶対に認めない理由_小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)インタビュー[第3回]
福島原発事故を読み解くにあたっては、
この「出世欲がない」というのが学者を見る時の
一つの鍵になると思います。
原子力工学の分野で出世するというのは
政府や企業が望むような研究をするということで、
政府や企業が望むような研究というのは原発を推進する、
放射能の害を少なく言う研究だからです。
つまり安全論にバイアスがかかっている研究結果を出してこそ
出世できるわけです。
先に言及したインタビュー文中にある以下の引用部分から、
原子力工学の分野では反原発だと
冷遇されるということが分かります。
──京都大学は原発に反対していると分かって採用したのですか?
【小出】 京都大学には個々の自主性を重んじる校風があります。私がどういう信条を持っているかなどという事前調査はしなかったのだと思います。わかったのは私が採用された後でしょう。」
小出さんのこの経歴を見て、いわゆる「御用学者」ではなく
自分の研究結果からきちんと学術的な見解を
導き出した人物だと私は判断しました。
といっても、私は小出さんのご意見全てに賛成はできません。
大人が汚染された食物を食べ、
子供には汚染されていないものを食べるべきだ、
というご意見には反対です。
私は誰もが汚染食品を食べるべきではないと考えるので…。
さて、そんな小出さんが2015年4月25日に
日本外国特派員協会で行った記者会見を文字起こししたものが
今次の原発事故の全貌を網羅していますので、
ぜひ読んでみてください。
参考になるかと思います。