アイルランド人がYesとNoを言わないのはなぜ?

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800年前にはアイルランド人の母語は実は英語ではなく、
アイルランド語という土着の言語でした。

アイルランドでは今でも街中の看板が
アイルランド語と英語の併記で、
義務教育ではアイルランド語が必修だそうです。

私のパートナーが通っていた小学校では
「トイレに行かせてください」とアイルランド語で言わないと
授業中はトイレに行かせてもらえなかったのだとか…。

今では英語以外使わないので
アイルランド語はすっかり忘れてしまったそうなのですが、
「トイレに行かせてください」というフレーズだけは
しっかりと覚えているそうです。

それが言えないと、本当にトイレに行かせてもらえなかったので
必死で覚えたフレーズなんだそうです。

アイルランド語の文構造はVSO(動詞・主語・目的語)で
英語とも日本語とも全く異なる文法です。

そして、なんとyesとnoにあたる言葉がないんだとか…。
こちらの記事にアイルランド語について少し詳しく書いてあります)

だから今でもアイルランド人が話す英語では
yesとnoで答えられる質問をしても
返ってくる答えにはyesとnoが入っていないことが多いです。

例えば、「彼らはあの家を売ったの?」と聞くと、
「売った」「売っていない」と返事が返ってくるというような。

私はパートナーと出会った当時は今よりも英語ができなかったので
yesとno抜きの文章で返事をされるとわからないことがあって、
何度も聞き返した挙句に「yesかnoかで答えて!」と
怒ったりしたこともありました(笑)

こんな風にアイルランド語の名残は残っていますが、
800年間イギリスに支配されていた間に
アイルランド語話者は激減し、英語が優勢な言語となりました。

近現代に入ってから国策でアイルランド語は保護されていますが、
それまでアイルランド語は
「劣等者の言語」として扱われていました。

現在では英語を話せないと進学や就職に問題が出るので
アイルランド語だけ話せればよい、
という状態ではもはやないのだとか。

私のパートナーもアイルランド語はほとんど話せず、
「トイレに行かせてください」の他は、
ランダムな単語を何個か覚えているだけ、というレベルです。

知り合いのアイルランド人が、酔った時に
イギリスの支配がいかに酷かったか話をしていたので、
「憎いイギリスの言語である英語を捨てて、
自分達の土着の言語を復興しようと思わないの?」

一度聞いてみたことがありました。

すると返ってきたのは、私には意外な答えでした。

「英語は世界的にどこでも通用するんだから、
今更英語を捨ててアイルランド語を復興しても何の意味もないよ。
英語を話せることは素晴らしいことだ。」

悲しそうでは全くなく、鼻で笑うようにこう答えられて、
「そんなものなのかな…実利的というか何というか…」
と思ったのが強く記憶に残っています。

 

 

国際恋愛は文化の違いなどで
分かり合えないことがたくさんあって大変ですが、
こんな風に自分が想像もつかず全く知らなかったことを
「自分に関わりのあるもの」として学べるので面白いです。

正直、パートナーと付き合うまでは
アイルランドがヨーロッパのどこにあるのかも知らず、
全く興味がありませんでしたから…。

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