今週は、パートナーが久しぶりの連続飲酒で仕事を休んでいます。
レベル3になり、まだロックダウンながらも
建築業と林業、製造業は仕事に戻れたのが4月29日で、
これまで二か月半は出勤できていました。
ところがこの一か月間に彼の友達が三人亡くなったのでそのストレスと
最近出世して仕事での責任が増えたストレスが重なり、
ストレスへの対処法が飲酒しかない彼は連続飲酒に陥ってしまいました。
日曜の夜に、泥酔した彼が
「俺は臓器不全で五年以内に死ぬ。そう感じるんだ」
とぽつりと言っていました。
何だかやけに具体的で気になったので、
月曜に仕事を休んで家にいた彼に体調がもしかして悪いのか、
臓器不全で死ぬと感じるような症状があるのかと聞いてみたら大当たり。
「実はこの半年間、内臓がずっと痛い。
便も毎回血便なんだか何なのか色とりどりで、ずっと下痢で、
臓器の破片みたいなものが入っている」と…。
驚いた私が「何で黙ってたの!?何でGPに行かないの!?」と聞くと、
「GPに行ったら絶対に専門医に回されて、高額なお金がかかる。
もし手術になんかなったりしたら、費用を払えない。
だから、GPに行くのは会社負担で
半年後に健康保険に入れるようになってからと考えてた。
それに診断結果を聞くのが怖いし、
原因が飲酒だって言われたら飲酒を止めなくちゃいけないから。
お酒を飲み続けたかったから」と…。
「そこまでして飲酒したいか。
もう本当に依存症は脳の病気なのだ」と思いました。
「大腸癌かもしれない、一刻も早く診断してもらわないと。
もし癌なら若いから進行が早いし、
半年後まで放っておいたらまずいでしょう。
専門医に回されたってたかだか数百ドル~五千ドルくらいだろうし、
専門医の予約はすぐに取れないかもしれないから、
その間に費用を貯金できる。
それに手術は公立病院なら無料だから費用の心配はいらない。
私が車でGPまで送迎するから、今日GPの予約を取って」と彼を説得しました。
すると彼は、「でも、GPに行くお金がない(週払いの給料日2日前…)」と言うので、
お金なら私が立て替えるから今電話をかけて予約して、と急かすと、
彼は「でも、こんなに長期間放っておいて、もう手遅れかもしれない。
診断されて、結果を聞くのが怖い」と怖がっていました。
「もっと放っておく方が怖いわ、さあ電話して」
とさらに急かしてGPに自分で電話してもらいました。
当日予約は埋まってて無理だったので、
隣のサバーブにあるwalk-inクリニックに行って診察を受けました。
私も診察室に一緒に入って、
医師からの質問にごまかした答えばかり言う彼の横から私が答えていました。
医師からの「喫煙しますか?」という質問には、
「たまに…」と答える彼の横から
「一日一箱吸います。週末は一日二箱です」と私が答え、
「飲酒はどれくらいしますか?」という質問には
「少しだけ…」と答える彼の横からやや食い気味に
「毎日です」と私が答えたりするのが続き、
彼は医師から「君!嘘つきだねえ!」と言われていました。
問診の結果、「原因はまず飲酒でしょうね。
検便も必要ないほどです。
念のため、血液検査だけしておきましょう。
友達が三人亡くなってストレスなのは理解できますが、
このままだと君が四人目になりますよ。
本当に飲酒を止めることを考える必要があります」
という医師からの言葉をもらいました。
それで、血液検査のために家の近所の検査場へ行き検査を受け、
薬局で処方薬をもらったその足で彼は酒屋に行ってお酒を買って、
帰宅してから飲んでいたんですけどね…。
「今日まで。明日からはもう飲まない」と言って。
そして「明日」にも飲んでいたし、その翌日も飲んでいました。
火曜の夜は彼が「たばこを吸ってくる」と言ってガレージに行き、
二時間くらい戻ってこなかったので
「これは飲んでるな~」と思って見に行くと、
ものすごく苦しそうな顔をして飲んでいる彼がいました。
「内臓痛いの?大丈夫?」と聞くと、
「うん。ガレージに来るんじゃなかった。
飲むんじゃなかったって後悔してる。
『たばこを吸ってくる』って君に言った時点で、
頭の中では『ベッドに戻って寝ろ』っていう声と
『一杯だけ』っていう声がせめぎ合ってたんだ」とのことでした。
「後悔してるなら、内臓も痛いんだしベッドに戻ったら?」と促すと、
彼は「そうする…」と素直にベッドに戻っていきました。
ベッドに寝転がってしばらくすると、
彼の顔が苦しそうではなくなっていきました。
寝転がると痛みがましになるらしいです。
彼は寝転がったまま何度もため息をついて、
「君は俺みたいなバカに(ビザで)頼らなくちゃいけないなんて運が悪いなあ。
君の時間を無駄にしてごめん。
もっと自分を改善していくよ。ごめんね」と何度も謝ってきました。
「謝らなくていい。あなたは私のために何年間も
精神的にも肉体的にも辛い仕事を頑張ってくれているヒーローだ。
仕事が辛いならいつでも辞めていいし、アイルランドに住んでも私は全く構わない。
それに運が悪いというなら、それはあなたにも言える。
私がオーストラリア人かニュージーランド人なら
今あなたがしている苦労は全くしなくてもよかったし、
私にデザイナーや医師とかの技能があれば
私が雇用主と地域と職種に縛られたワークビザを取って、
あなたに配偶者としてオープンワークビザを取らせてあげられたんだから」
と私が言うと、
「俺は君に出会えて運がいい男だよ。
ここまで時間を努力を費やしたんだから、
もう今更ニュージーランドの永住権を諦める訳には行かないよ」と。
しかし、永住権が取れるまで果たして彼の体が持つかどうか。
というのも、身体がこんな状態になってもなお、彼は
「お酒はしばらく飲まない」と言うだけで
一生断酒するという決意をするには至っていないからです。
これからどうなるのでしょうかね…。