「毒々しい男らしさ」に苦しめられている男性の話

Toxic Masculinityについて最近考えていました。

この言葉は、和訳すると「毒々しい男らしさ」です。

この概念が日本では知られてるかよく分からないのですが、
心理学やジェンダー学などで使われる概念です。

参考になりそうなページの内容をかいつまんで以下にまとめてみました。

多くの男性は子供の頃から親や周囲に
「泣いてはいけない」「男らしくしなさい」と言われ、
「男は強くあれ」と教えられます。

その考え方が基本なので、例えば運動より勉強の方が好きな小学生の男の子は
「女々しい、弱々しい」と虐められることが多く、
ハリウッド映画では「男らしい」俳優が銃で悪を蹴散らして、
美しい女性や欲しいものを手に入れる、と。

つまり、昔ながらの概念である「男らしさ」とは、
大げさに言えば「男は多少乱暴でも強くなることが重要で、
それは社会で許容される」
となり得ます。

この思考こそが大きな間違いで、現代の暴力社会を引き起こす根源ではないか?
というのがToxic Masculinityの意味するところです。

英語圏では最近、日本でもお馴染みの、
カミソリを作っているGilletteという会社が作った
“Bullying, the MeToo movement against sexual harassment, toxic masculinity, is this the best a man can get?”というナレーションから始まるCMが話題になっていました。

何でtoxic masculinityについて考えているかというと、
私のパートナーがここ一週間ほど、それに大変苦しめられているからです。

彼は「男は常に強くいなければ」という価値観の持ち主で、
男性に結構いる、「自分の弱さを認められない」という弱さを持っている人です。

先週末が亡くなった彼のお兄さんの命日で
お兄さんが亡くなったのは四年前なのですが、
そのお兄さんの命日や誕生日の前後に彼は必ず精神的に揺れてしまう様子。

そのお兄さんは6人兄弟の中で一番彼と仲良しだったし、
亡くなった当時は29歳でまだまだ若かったし
健康だったのに突然亡くなってしまったから、
癌とか何かしらの病気を長期間患っていたので覚悟は何となくできていた…
というのとは違って家族は物凄くショックだったのは私でも簡単に想像できます。

家族は今でもそのお兄さんの誕生日や命日なんかで、
折に触れて悲しくなったり情緒が不安定になるのは当然だと思います。

が、彼は自分がそうやって時として精神的に脆くなることを自分に許しません

それで自分の気持ちに蓋をして無視し続けて、
でも蓋をしきれなくて無視しきれなくて
積もり積もって大爆発してしまう
ということを
かれこれ4年*誕生日と命日で年に2回=8回くらい繰り返しています。

大爆発の仕方は、仕事をいきなり何日も休んで、
その間ご飯もろくに食べずにひたすら飲酒をして
酔っぱらって楽しい気持ちになろうとするものの、
普段みたいに全く気持ちよく酔えず
数日経過してから私に問いただされて遂に
「実は兄ちゃんの誕生日/命日で。。」と口を割るというパターン。

今回のはなかなか長くて、彼は仕事を4日無断欠勤してしまったし、
ここ1週間で4食くらいしか食べていません。

食べてないのはお酒で常にお腹がちゃぽちゃぽでいっぱいのため。

お兄さんの件でストレスがかかってたところに、
今回は無断欠勤4日をしてしまったことで
「今の現場をクビになるかも」というストレスが加算されていたので、
私が「現場監督に今日電話して、無断欠勤してすみませんでしたって謝りな!」
と説得するも彼は「電話するのが怖い」と首を縦に振らず。

私はその後用事があったから出かけて、
帰ってきたら彼がちょうどスカイプでアイルランドにいる親友(男)と話していました。

その親友が「お前が今苦しんでるのはtoxic masculinityだよ。
男だって感情的になっていいし、何なら男の方が女より感情的だったりする。
男だって時として弱くなるのは悪いことじゃない。
自分も弱くなることがあるって受け入れて、対処の仕方を学べよ。
じゃないと今みたいに溜め込んで大爆発を繰り返して、しまいに体壊すぞ」

とこんこんと説得していました。

その親友は、私が彼に全く同じことを言っていたことを知らずにそれを言っていたので、
彼は「お前ら二人して同じこと言うんだな…俺、そんな分かりやすいかな。。」とシオシオに。

そこでチャンスと踏んだ私が再度監督に電話するよう説得。

その現場監督は彼曰く仕事ができるだけじゃなくとても人格者で、
尊敬しているらしいのです。

今の現場に呼ばれたのもその監督から名指しで指名されたからで、
仕事も彼が快適にできるよう取り計らってくれたりして彼は頭が上がりません。

「電話するのが怖い」と言う彼に「怖いのは分かる。
でも自分がしてしまったことの結果に向き合わなくちゃ。
監督があなたが普段言ってる通りの人なら、
ちゃんと無断欠勤を謝罪してから理由を話せばわかってくれると思う。
これまで良い扱いをしてくれた人には報いたいでしょ。
電話するのが怖いなら私が横について手を握ってるから」

と説得してみると、彼はついに電話することに同意。

が、彼は「みよこの電話から監督に電話したい」と言ったので、
私はピンときて「自分の携帯から電話したら、
監督に番号を知られてるからもし監督が出なかったら
着信履歴に残ってかけなおしでかかってくるのが怖いんでしょ?」と聞くと、
彼は図星でございますという顔をして「番号は02…」といい始めたので、
私がその番号を自分の携帯に打ち込み。

打ち込み終わった後に「これで番号合ってるよね?」と私が番号を読み上げると、
彼は「知らない。もうダブルチェックも怖くてしたくない」と言うので、
よっぽど怖いんだなと思いつつ、あとは通話を押すだけの状態にして彼に渡しました。

通話ボタンを押した彼はフラフラと庭に出ていったので、
おいおいどこへ行くんだと急いで追いかけると、庭のベンチに座っていた彼が
「あの、僕です…えっと。。」とモゴモゴしていたので、
私が横で「まず謝る!」と囁き。

そこで彼が「四日も無断欠勤して本当にすみません。
先週末が兄の命日で、自分でも何が何だか分からなくって、
何だか脳が爆発したみたいで、ずっとお酒飲むのが止められなくて。。
もし今の現場を首になっても仕方ないと思います。すみませんでした」
と謝ると、
監督は「そうか。全然問題ないから心配するな!人間誰にでも苦しい時はあるから。
月曜に話をして、俺たちがどう君を助けられるか考えよう」と即答
していて、
何だか横で聞いた私も監督の言葉に感動してしまいました。

電話を終えた彼は「電話するよう説得してくれてありがとう。
これで心がだいぶ晴れた。俺はこの監督の下で働けて本当にラッキーだ」
と晴れ晴れとした表情。

今回の大爆発は、こうして一応終了しました。

でも結局彼が精神的に脆くなる自分を許さないという根本の問題は解決していないので、
また遠からず同じことが起こる
と思います。

どうしたものか…。

本当は彼はカウンセリングにかかった方がいいんだろうから
私から受けるよう勧めてみたら、
「カウンセリングは弱い奴がかかるもの」という
彼のtoxic masculinityに即却下された
のでした。。

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