本当の”Essential Work(絶対不可欠な仕事)”とは何で、誰がしているのか?

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ニュージーランドは全国閉鎖15日目に入りました。

 

 

スーパー、病院、薬局はEssential business(不可欠な事業)として開いていますが、
それ以外は基本的にNon-essential businessとして閉まっています。

私は短期ビザの外国人としてニュージーランドに滞在しているのですが、
どの仕事が本当にEssentialなのか?と考えさせられる日々です。

全国封鎖下のニュージーランド政府は、
“Thank you for keeping the country going”と
医師や看護師などの他にも介護士やスーパーの店員などの
Essential workersに対して英雄だと述べ感謝しています。

しかし、政府首脳からのそれらの感謝の言葉を聞くと、
偽善だと私は感じて苛立ってしまいます。

なぜなら、介護士やスーパーの店員は
短期ビザの外国人労働者が多い低賃金の仕事で、
ここ2年ほどのニュージーランドは移民の数を減らす方針により
彼らが永住権を取れないよう移民ポリシーを変えていたからです。

ニュージーランドの人口は約500万人で、
ワークビザ、スチューデントビザ、家族ビザといった
短期ビザで滞在している外国人は30万人以上います。

つまり、16人に一人が永住権を持たない外国人ということです。

ニュージーランド政府は年収が低い仕事を低技能とみなし、
介護士とスーパーの店員として働く外国人達は永住権申請ができなくなりました。

3年以下のワークビザは出しますが、
そのビザが切れたら自分の国に帰ってください、
低技能の外国人に永住権は与えませんので、という態度です。

しかし、このパンデミック危機で
止めたら国が回らなくなる不可欠の仕事は何で、
それを誰がしてきたか、と見てみると実は低賃金=低技能の仕事で、
しかもその多くが短期ビザの外国人により担われていた
という訳です。

普段はそれらの職業で数多く働く外国人を低技能とみなして歓迎しないのに、
危機になった途端に手の平を返している
ように見えてしまいます。

また、それらの仕事は不特定多数の対人接触が避けられず、
この感染症パンデミック下にあっては感染リスクが高い職種です。

2年以下のワークビザ所持者は医療費が全て自費で高額なので、
「感染リスクが高い仕事で低賃金で働いている外国人は
感染したら高額な医療費を自腹で払うのか?
そもそも、払えるのか?」と私は疑問でした。

この懸念は、4月7日にビザのステータスに関わらず
ニュージーランド国内で入院した場合の入院費は無料となって解決しましたが…。

私は、パートナーがWork to Residenceビザを昨年10月に取得したので、
それに乗っけてもらう形でオープンワークビザを持っています。

パートナーと私は2014年からニュージーランドに滞在していて、
パートナーはニュージーランド人の平均年収より高い年収を稼ぎ、
平均的なニュージーランド人よりも多く税金を納めてきました。

私は現在無職ですが、基本的にはずっと働いてきたので
パートナーの額には及びませんが税金を同じく数年間納め続けてきました。

ところが、全面封鎖の状態になり、
建築業の現場仕事で在宅勤務ができないパートナーがもし今後失職しても
政府からは何も経済的な援助はありません。

私達、短期ビザの外国人には生活保護の受給資格がないからです。

国境を封鎖されてそもそも国外に出られないので、母国にも帰れません。

フライトが運航していたとしても、高額でまず手が出せない価格です。

私達短期ビザの外国人の収入に課税する時は
“Resident(居住者)”としてみなしてくるのに、
この非常事態下で経済的な援助が必要かもしれないとなると
“Non-resident(非居住者)”とされ、
援助の対象外とされている
ことに私は怒りを禁じ得ません。

 

 

それに、ワークビザは雇用主と紐づいているので、
雇用主からもし今解雇されたらビザはどうなるのか?

ビザがなくなり、従業員側に落ち度はないのに不法滞在となるのか?

また、スチューデントビザで滞在している留学生は
ニュージーランド経済のドル箱で、
留学生は地元の学生と比べて、留学生価格の非常に高額な学費を支払っています。

中国からの渡航が禁止され中国からの留学生が来れなくなりすぐに、
オークランド大学が「今年度の利益がなくなった」
大学の労働者の新規採用を凍結したほど
教育業界は留学生から支払われる高額な学費に利益を頼っているのです。

それらの留学生は生活費をバイトで賄っている場合もあるだろうし、
全国封鎖でそのバイトでのシフトが減ったり解雇されたりと
収入減がなくなった留学生が少なくないことも想像に難くありません。

彼らから高額な学費を取れるだけ取っておいて、
この非常事態に助けなしで放置するのか?

外国人はニュージーランドに家族がいないケースが多く、
家族からの援助を得るのが難しいことが多いです。

そのような疑問に対するニュージーランド政府からの回答は
全国閉鎖から二週間が過ぎてもまだありません。

 

 

他国に短期ビザで滞在しているニュージーランド人への援助を現地政府から望むなら、
ニュージーランド政府も国内に滞在している短期ビザの外国人を助ける必要があります。

ニュージーランド政府は”We are all in this together(みんな一緒)”、
皆で頑張って乗り越えよう、と言っていますが、
その「皆」の中には私達のような短期ビザの外国人は入っていないのだと
今のところは感じます。

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