差し伸べられる手の多さに垣間見えるパートナーの人望

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八年間一緒に過ごしたパートナーと別居をすることに決めて、
引っ越し先を探し始めています。

今の仕事は最低賃金でなかなか貯金ができないので、
もうしばらくは同居が続きそうです…。

私から別居を切り出したことが彼のストレスになり、
先週水曜から彼は連続飲酒に陥り、
かれこれ四日間欠勤しています。

先々週も連続飲酒で欠勤していたため、
この三週間で出勤できたのは七日のみという状態。

前回の連続飲酒の時に、
「実は、鬱と依存症を患っています。
欠勤が続いて仕事に穴をあけて申し訳ありません」

と会社には伝えてあります。

それまでは「体調が悪い」と欠勤の連絡をしてGP(一般医)に行き、
「この患者は〇日までmedically unfitで勤務できません」と診断書を書いてもらい
それを会社に提出していました。

ところがパンデミックになり、
今やニュージーランドでは体調が悪いとPCR検査に送られるので
「体調が悪いので休む」と言えなくなってしまいました。

それで、正直に話すしかなくなったという…。

会社側はとても協力的で、前回の欠勤の時には上司が
「次に君が出勤した時に、会社がどう助けられるか話そう」
と言ってくれました。

そしてその一週間半後にまた連続で欠勤になったのですが、
上司が「心配するな。君が欠勤してる間は、俺達がカバーする」と言ってくれ、
会社の人事部に掛け合ってくれました。

人事部の人が今朝彼に連絡をくれて、
「大丈夫ですか?会社がカウンセラーを手配して、今日中にまた連絡します。
医師にかかることもお勧めします。
もし今お金が必要だったら会社が支給するから、知らせて下さいね」

と言ってくれたそうで。

彼は「お金はいいです。すでに迷惑を凄くかけてるのに、
そこまでしてもらうわけにはいきません。有休を使います」
と断ったそうですが…。

私は彼が普段働いている姿を見たことがないのですが、
「いつも仕事をとても頑張っていて、人望もあるんだろうな」と、
この会社からの手厚い対応を見ていて感じました。

元々その会社はとても従業員を大切にする会社のようで、
最初のロックダウンになった時も会社のトップが
全従業員向けに動画でメッセージを出し、
「当社は、一人たりとも解雇しない。
この厳しい時を一緒に乗り越えよう」
と言っていて
従業員ではない私まで少し感動したほどでした。

それでも、もし出勤した時に怠けていたりと勤務態度が悪ければ、
会社側はこんな対応をしてくれないと思うんです。

勤務態度が悪ければ、
「あいつのことだから、仕事に来るのが面倒なんだろう」と思われて、
書面での警告(一年以内に二回貰ったら解雇)を出されていたのではないかと。

アイルランドにいる友人達に今の状況を話しているらしいのですが、
「フライト代は自分が出すから、戻ってこい」
と言ってくれる友人が沢山いるらしいです。

「俺は本当に人に恵まれている。
助けてもらうのに相応しい人間じゃないのに」
と彼は言いますが、傍から見ている私は彼の人望の賜物だと思います。

勤務態度だけじゃなくて、彼はとても優しい人なんです。

とても印象に残っているのは、
私達がオーストラリアでのワーキングホリデー時代に
二年目のビザを取るために季節労働を田舎でしていた時のことです。

私達はバックパッカーに滞在していて、
宿泊客は皆同じく二年目のビザ欲しさに季節労働をしている
ワーキングホリデーの人達でした。

年齢が近く皆で集まって話したり飲んだりしていたのですが、
ある時それまで皆と仲良くしていたスコットランド人の女の子が
誰彼構わず暴言を吐いて皆から嫌われたことがありました。

私は現場にいなかったのですが、
人づてに聞いた話だとかなり酷い暴言を吐いたようでした。

その日から彼女は避けられ、
皆で集まっている時も自分の部屋でぽつんと座っている状態でした。

でも彼だけは彼女が避けられ始めてすぐに彼女の部屋を訪ねて
「何かあったんだろ。話してみなよ」と声をかけ、
彼女が話し出すまでじっと横に座って一緒にいました

するとしばらくして彼女が号泣しながら、
母国で仲の良かった兄が急死したこと、
そのストレスで自分を保てなくなって皆に酷い暴言を吐いたこと、
皆に許してもらえないのは当然だし申し訳ないと思っていることを
ぽつぽつと話し出したそうです。

この一連のことは私は蚊帳の外で
(現場にいなかったし、英語が今よりできなかったので
スコットランド訛りの英語が理解できず彼女と話せませんでした…)
後から彼に聞いたのですが、
「何て優しい人なんだろう」と彼の優しさに感動しました。

その女の子と彼は特に彼と親しかったわけでもなく、
そのバックパッカーで知り合った日の浅い友達だった
ので、余計に。

古くからの友達や親しい友達ならともかく、
大して親しくもなく日の浅い友達に、
自分なら迷わずそういう対応を当たり前のように取れるだろうか?と
私は考えさせられました。

私が「優しいね」と彼に言うと、彼は
「友達が辛い時は側にいるのは当たり前。
辛い時に側にいない友達なんて、本当の友達じゃない。
良い時だけ友達なんてありえない」
と言っていました。

彼は、こういう人なんですよね。

普段から無意識に、当然のこととして周りの人を助けているんです。

だから職場も家族も友人も私も彼をサポートして助けようとしている、
それなのに彼本人だけが
「自分はダメな人間だ。迷惑ばかりかけて」
と自分を攻撃して、その痛みを紛らわすために飲酒している
んですよね…。

世界のどこに行っても、どこまで行っても自分からは逃れられないし、
自分は自分の親友であるべき
だと私は考えています。

他人や周りがどうであろうとも、
自分だけは常に自分を理解し、励まし、大切にするべきだと。

でも、彼は自分自身の親友どころか最大の敵になっているので、
見ていてとてももどかしいです。

いつか彼が自分自身の親友となって、
回復への道を歩んでくれたらいいなと願っています。

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